2.3 生物学:生き物は存在ではなく、現象である

炭素や水素といった物質がうまく組み合わさると、生物が誕生します。これが、生命領域が物質領域の上位のホロンである由縁です。そして、古典的なニュートン力学に、相対性理論や量子力学が新しい知見を加えつつあるのと同様に、生命システムに関する理解も更新されつつあります。

ニュートンは17世紀の人ですが、同じ頃、生物学の領域では私たちの体が細胞からできているということが発見されました。そして、その細胞はさらにミトコンドリアや小胞体といった細胞内小器官で構成されているということが分かりました。このような分析的なものの見方で生命や生物を捉える考え方は、私たちの体は精密機械のようなものであるとし、機械論的な生命観が長らく主流となりました。

しかしながら、機械論的な見方で生命をみると、生命を生命たらしめている本質の部分が見失われてしまいます。そこで出てきた考え方が、例えば生物学者、福岡伸一の提唱する「動的平衡」です。

筋肉は2週間で全て入れ替わるなど、物質レベルで見ると1年前の自分はほぼ別人であるにも関わらず、自己同一性が確保されているのが生命である、その意味では私たちの体は固体ではなく、長い目で見れば絶え間なく流れている流体である、ということができます。すなわち、生命は存在ではなく、現象なのです。この絶え間ない現象として細胞レベルでの合成と分解を繰り返しているさまは、「変わらないために変わり続けている」とも言えそうです。

動的平衡を維持するためには、作り出すだけでなく壊すことも重要だということが明らかになっています。これは、一般的には「新陳代謝」として知られています。生命は、自らを壊し、そして同時に再構築します。この矛盾するプロセスを同時に行いながら、バランスを保つことが、生命の特徴です。

サッカー元日本代表監督の岡田武史さんは、「動的平衡は新しい組織論だ」と言いました。

例えば「会社とはなんですか?」という問いに、機械論的な見方で答えるなら、「本社ビルです」、「法人格です」、あるいは「この組織図です」と答えるかもしれません。でも、動的平衡という観点から答えるなら、「そこで生み出される価値です」とか、「そこで繰り返される行動であり会話です」というふうに答えることができます。

それが、リコネクトが大切にしている考え方です。私たちは、変わらないために変わり続け、動的平衡を達成し続ける生命システムとしての組織に伴走します。